世界遺産登録決定 ~三重津海軍所跡~【佐賀支店】
2015年7月5日、明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業の構成遺産の一つとして、「三重津海軍所跡」が世界文化遺産に登録されましたので紹介したいと思います。
早速、見学へ行きましたが、本当に何も無い河川敷の為、三重津海軍所の歴史と近隣に在る佐野常民記念館と筑後川昇開橋も含めて紹介します。
三重津海軍所は、1858(安政5)年に当時の佐賀藩により佐賀市川副町、諸富町をまたぐ有明海北東岸に設置された近代海軍拠点施設跡で、前身となる御船手稽古所(おふなてけいこしょ)が設置されたのち、徐々に拡張され西洋船を運用するための施設として設立されました。閉鎖時期は明らかになっておらず、佐賀藩、または江戸幕府所有の蒸気船等の船の修理や造船としての施設であると同時に、西洋船運用の教育や訓練機関も兼ねていました。
有明海の干満差を利用して船を引き入れ、洋式艦船をメンテナンスする「ドライドック」(乾船渠)が在った他、1865(慶応元)年には国産初の実用蒸気船「凌風丸(りょうふうまる)」を製造したといわれており、2013年に国史跡に指定されています。
(三重津海軍所跡 スコープ視聴ポイント)
ご覧の通りただの空き地です。隣の「佐野常民記念館」内ではVRスコープを貸出受付所で借りることができ、各ポイントでは音声ガイドが流れ、VRスコープを覗くと当時そこに在った三重津海軍所が3DCGで再現され視聴する事が出来ます。(無料ですが、免許証など身分証明書類が必要です。)
(佐野常民記念館)
日本赤十字社の創始者「佐野常民(つねたみ)」の記念館です。日本赤十字社ができるまでの歩みや、三重津海軍所の監督となり幕府注文のボイラーを制作するなど、幕末から明治にかけて先進的な活動を展開した常民の業績をあらわす資料や遺品を展示してあります。
(筑後川昇開橋)
三重津海軍所跡から車で5分、日本国有鉄道(国鉄)佐賀線に存在し、筑後川をまたいで福岡県大川市と佐賀県佐賀市諸富町(廃線時・佐賀郡諸富町)を結んでいます。橋桁の一部が垂直方向に昇開する日本に現存する最古の鉄道用可動式橋梁です。佐賀線の廃線後も保存され、現在は歩道橋として活用されており、旧筑後川橋梁(筑後川昇開橋)として重要文化財および機械遺産に指定されています。
「三重津海軍所跡」は明治日本の産業革命の価値ある遺産です。佐賀方面へお越しの際は、足を伸ばしてみてはいかがでしょうか。